スナップアップ投資顧問
レーベルゲートは、大手レコード会社が出資していた。まず、レーベルゲートやソニーの方針転換に賛同したのが東芝EMIだった。2004年11月17日から、10万曲を対象にレーベルゲートからダウンロードした楽曲のCD複製を10回までという制限付きで解禁した。2004年12月22日からはワーナーミュージック・ジャパン(東京都港区、吉田敬社長)が楽曲数3000曲でこれに続いた。
市場は伸び悩んだ
CDを買わない消費者から、何とか収入を得られないか。ネット配信サービスは低迷する音楽ソフト市場の拡大にこそ、意味があった。
ところが、市場は伸び悩んだ。レーベルゲートの利用件数は2004年は月間20万件前後にとどまった。黒字転換に必要とされる月間100万件ラインには程遠かった。
配信のメリットは豊富な品ぞろえだ。さらに、簡単で便利、1曲から買える自由度などがある。複製禁止の解禁は普及への切り札となる。
この間、欧米では音楽配信サービスが爆発的に伸びた。「iチューンズ・ミュージックストア」を展開する米アップルは12月16日で累計ダウンロード件数が2億曲を突破した。2005年春には日本でも音楽配信を開始した。
こうした状況を受け、レコード大手にも微妙な変化がみられる。最大手のソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)は「CDなどにどんどん複製されては、利用件数は伸びてもビジネスとして成り立っているとはいえない」と断固反対していた。最近はCD複製に理解を示す声も出た。
ただ、社内でも推進派と反対派が真っ二つに割れている状態だった。ソニーミュージックとして答えは出なかった。
韓国では有料サイトが成熟する前に、消費者が無料ダウンロードに慣れてしまった。配信文化は広がったが、音楽CD市場は1997年から毎年15%ずつ縮小、自国だけではビジネスが成り立たなくなった。輸出を強化する「韓流」の背景には、実はこうした事情があった。
音楽配信サービスの歴史
年 | 出来事 |
---|---|
1999年12月 | ソニー・ミュージックエンタテインメントが音楽配信「bitmusic」開始 |
2000年 | 日本のレコード会社が共同出資しレーベルゲート設立 |
2001年11月 | 米アップルコンピュータが携帯型音楽プレーヤー「iPod」を世界で発売 |
2002年12月 | KDDIが「着うた」開始 |
2003年4月 | アップルが米国で音楽配信「iチューンズ・ミュージックストア」開始 |
2004年5月 | ソニー、米国で音楽配信「コネクト」を開始 |
6月 | アップル、欧州で音楽配信開始 |
7月 | KDDIの「着うた」とアップルの配信曲数、それぞれ1億曲突破 |
10月 | マイクロソフトが日本で音楽配信開始 |
11月 |
KDDIが一曲まるごと配信サービス「着うたフル」開始 レーベルゲートがCD複製機能を追加 東芝EMIがCD複製10回、外部転送無制限に著作権保護ルール見直し |
12月 |
アップルの音楽配信サービスの利用件数が2億曲突破 ワーナーミュージック・ジャパンがCD複製10回に著作権保護ルール見直し |
2005年4月 | アップルが音楽配信サービス開始予定 |